Abbacchio alla romana

01 : lazio

20数年前の丁度今ぐらいの時期にローマに初めて降り立ちました。
新緑がはじまる時期で風が吹いていましたが、心地良い日だった記憶があります。

北イタリアの田舎町から、都心部のローマに来て明らかにその街のもつ温度感というか何かが違った感覚でした。
盛り付けはその時のイメージです。

本来は仔羊の骨付きロース肉をフライパンで焼いたものに、
ヴィネガー、ニンニク、ローズマリー、アンチョビを合わせてすり潰したものを加えて仕上げるシンプルなソテー料理です。

仔羊肉はローマでは「白い肉」とされ「ベンコット( = ウェルダン)」で焼きあげるのが古典なのですが、
私がローマで働いていた2,000年頃はミディアムレアに仕上げて柔らかく食べていました。

実はアレンジは今回が初めてではなく、10年前にも一度形にしています。
ソースは本来のソースに、羊の骨から作ったジュを加えています。
アンチョビをきかせる原型の感じは壊したくなかったので、
塩っぱくならない様にサラサラで作ったものを葛粉で繋いでいます。

10年前はメイン料理として提供していて、骨付きのロース肉を塊でローストしていましたが、
今回はサイズを調節して温菜とし、詰め物のような感じに仕上げました。

仔羊のロース肉の骨を外してから、塩を当てて軽く全体を焼いた後にマッシュルームのデュクセルを肉の表面に塗ります。
(仔羊の淡白さを補うためです。)

2ミリ角にカットして甘味が出るように火を入れた香味野菜と,
トピナンブールをその上に乗せてから薄〜く網脂で巻いて再度焼き固めるイメージでソテーします。
その後は52℃に設定したコンベクションオーブンに20分間程キープして、
オーダー時は180℃のオーブンで4、5分温めて最後に表面を焼いてメイラード反応をさせます。

ローリエを焼いて油の中に入れる作業を繰り返して自家製の燻製オイルを作っておきます。
後は画像のようにこの時期にローマで食べるそら豆や葉玉ねぎ等を付け合わせにして盛り付けたら、
ソースを皿にひいて肉の上に燻製オイルを数滴垂らして完成です。

郷土料理そのままでも完成している料理なのですが、
現代の食生活に見合う旨味、食感に加え、創造性なんかもゲストから求められるのが今のリストランテなので、
こんなアレンジにしてみました。
逆に味や食感、温度を掘り下げていくと、見た目はどんどんシンプルに削ぎ落とされていきますね。

ボナペティート!
仔羊の猟師風
theme : ラツィオ州

【 料理 】

・Inizio / 2種

Panzerotti-alla-romana
ローマ風パンツェロッティ
Panzerotti alla romana


Baccala_vecchia-storia
バッカラ・ヴェッキャ・ストーリア
Baccala’vecchia storia


・Antipasto

仔羊の猟師風
Abbacchio alla romana
※今回の景色の見える料理(冒頭の画像参照)


・Primi piatti / 2種

Panzerotti-alla-romana
メッツェ・ペンネ・アッラ・マトリチャーナ
~山梨県アサヤヴィネガー~
Bucatini alla matriciana


Gnocchi-di-patate
十勝産2年熟成のきたあかり芋のニョッキ
~ゴルゴンゾーラ クルミ 発酵させた芋のチップ~
Gnocchi di patate


・Pesce

Carciofi coi piselli
鳥取県赤碕産サワラのポアレ
~カルチョーフィとグリーンピース~
Carciofi coi piselli


・Carne

Coda alla vaccinara
コーダ・アッラ・ヴァッチナーラ
~チョコレートと赤ワイン風味豊かなリストランテアレンジ セロリアックのプレア~
Coda alla vaccinara


・Dolce

Budino di ricotta
リコッタのプリン
Budino di ricotta


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