〜郷土料理の【伝承】と【創造】〜
私は昔習ったイタリアの郷土料理をそのまま紹介する時と、
アレンジした時とでは、全く違ったアプローチで考えて料理を作っています。
前者は食文化として根付いた素晴らしい料理を、
紹介して知ってもらいたい。次の世代に伝えたい。という
「伝承」としての意図がありますから、出来る限り原盤に忠実に再現します。
一方、後者はあくまで自己表現としての料理として考えていますから、
ベースの料理が同じでも違う見た目、テクスチャーとなります。
イタリアでもリストランテはその土地の郷土料理をベースにした、
各シェフのオリジナル料理だと私は捉えています。
例えば「グーラッシュ&シュペッツリ」
(仔牛スネ肉のパプリカ煮込みハンガリー風)
その土地に根差した郷土料理を忠実に提供する
一般的なトラットリアとは違うアプローチの、
(最近は多様化して独自のアレンジを加えている素晴らしいお店もあります)
リストランテで提供する料理にアレンジしてみるとこんなに違います。

どちらの料理も私にとっては大切なもので、
その時、そのゲストに求められる内容によって変えています。
私自身が昔そうでしたが、何処までアレンジして良いのか?
に戸惑った時期もありました。
が、そういった角度からでなく、
シェフとして何をゲストに届けたいのかだと、今は思います。
その時はこの料理がどんな料理なのかを明確に打ち出せば問題ないのかと。
お召し上がり頂く際は、そういった背景も愉しんで頂けると幸いです。
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このコンテンツでは、シェフ秋田が郷土料理を尊重した上で、
各州のモチーフとなる料理に創造性を加え、
新たに構築した料理を、アーカイブとして保管してあります。
また「景色が見える料理」をテーマにし、体験談と共に記しています。
どうぞお楽しみください。