さて、今回の『景色の見える料理』は…
ネーラ川産マスの詰め物
TROTA DELLA 《NERA》

マスが渓流を泳ぐ姿を一皿にしてみました。

原盤のレシピでは、マス1匹のお腹側にパン粉、イタリアンパセリ、レモン汁を混ぜたものを詰めて焼き上げます。
上記の食材を使うのを前提として、アレンジしました。

マスは【くぬぎ鱒】という静岡県のこだわり抜いた生産者の方から、上質なものを仕入れました。
鱒を焼き上げるのも良かったのですが、今回は甘塩で1日マリネした後、
42°Cの真空調理でしっとりと半生ギリギリの火入れで食感を作ってから冷やして冷菜としました。

マスやサーモンは43°Cを境にタンパク質変性をおこして硬くなっていきます。
ですから、余熱でその温度にいくギリギリにしてみました。

パン粉を乗せて焼き上げるのではなく、パン粉をカリカリにしたものとパセリとレモン汁を合わせたものを作ってマスの上に乗せています。
マスの卵であるマスコは昆布だしに浸して旨みをあげてみました。

・川の流れにはマスカルポーネチーズとムール貝の出汁を詰めて合わせたものを。
・川岸の石はパルメザンチーズのクランブルを。
・木々の緑はクレソンのパウダーを
それぞれあしらっています。

海に向かって飛び出していく躍動感が伝わったら良いなと思います。
ブォナペティート！

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追記

イタリア料理は郷土料理の集合体だと考えています。
地理、歴史が学生の頃から好きだったことも有りますが、
私がこんなにも長い間、憧れ、興味を持って、探求したものは他にありません。

イタリア全20州を18（※）に分けて、今回ちょうど折り返し地点の9回目でしたが、
一旦ここで、休憩と致します。

まだ手掛けていない残りの州にも、それぞれ思い入れのある料理やエピソードもありますので、
機会がまた来た際には、更に進化したものがお見せ出来ればと思います。

ありがとうございました。


※ Piemonte州とValle d'Aosta州（第7回目）、Abruzzo州とMolise州は同一として企画