ペアリングワインのご紹介 vol.11|魚料理に、なぜロゼなのか? ― Pollino Rosato × 旬魚のバジリカータ風チャンボッタ

Menù

リストランテアキタでは、約1か月半ごとにコース内容を見直し、その季節だからこそ味わえる料理をご提供しています。

料理が変われば、それに寄り添うワインも変わります。

前回同様、ソムリエ・藤本智さんにもご協力いただき、それぞれの料理の魅力をより引き出すペアリングをご用意しました。

一皿ごとの味わいとともに、今回お楽しみいただくワインをご紹介いたします。


Tenute Ferrocinto Pollino Rosato

まずは、藤本ソムリエのコメントから。

白ワインに近い清涼感を保ちながら、ロゼならではの果実の厚みと格があり、白身魚(カサゴまたは甘鯛)の親細さをなわずエストラットの凝縮したトマトの旨味にも味わい負けしない。

カラブリア土着品種マリオッコを白ワイン製法で醸造し、フレンチオーク樽で6ヶ月熟成させることで得られる温かみとまろやかさが、個別に火入れしたナス・ズッキーニ・パプリカというバジリカータ風チャンポッタの一つ一つの食材の甘みを、まとめて引き上げる。

塩味と酸が白ワインと魚の出汁で仕立てたヴァンブラン風の冷製ソースを長くつなぎ、アセロラのような淡く育い赤系果実の風味がナス・パブリカ・ズッキーニそれぞれの甘みを引き出す。ロゼ✕野菜のトマト系煮込みは南仏・南イタリアの伝統的な相み合わせであり、白では軽すぎ、赤では強すぎるこの一皿の中間を担う、理にかなった1本。

***

今回ご紹介するワインは、イタリア・カラブリア州から。

Tenute Ferrocinto Pollino Rosato

ポッリーノ山塊の麓で育つアリアニコから造られるロゼワインです。

そして今回、このワインに合わせるのは、

「旬魚(浜田港) バジリカータ風チャンボッタ」

夏野菜と旬魚を組み合わせた、リストランテアキタの夏の一皿です。

魚料理にロゼ?

そう思われる方もいるかもしれません。

しかし今回の料理を一つひとつ分解していくと、

「だからロゼを合わせたい」

という理由が見えてきます。


「チャンボッタ」とは?

チャンボッタ(Ciambotta)は、南イタリアで親しまれてきた野菜料理。

今回リストランテアキタでは、

玉葱、ジャガイモ、茄子、ズッキーニ、赤パプリカ、トマト、バジル。

横須賀から届く夏野菜を使って仕立てています。

「南イタリア版ラタトゥイユ」と説明されることもありますが、今回は単純に野菜を一緒に煮込むのではありません。

野菜それぞれに火を入れ、最後に一つの料理として合わせています。

さらにヴィネガーと茄子のピューレを加えることで、

野菜の甘味と、夏らしいキリッとした酸味。

両方を感じられるチャンボッタに仕上げています。


浜田港の旬魚と、南イタリアの味

そこに合わせるのが、浜田港から届く旬魚。

さらに、

白ワインと魚の出汁、シチリア産エストラットを使ったジュ。

セニゼ産の乾燥唐辛子「ペペローニクルスキ」。

レモンのゼスト。

そしてバジルオイル。

魚の旨味だけではなく、

トマト、野菜、酸味、ハーブ、唐辛子、柑橘。

南イタリアを思わせるさまざまな要素を、一皿の中に重ねています。

ここまでくると、

「魚だから白ワイン」

という選び方だけでは、少し物足りなくなってきます。


そこで、アリアニコのロゼ

今回選んだのが、

Tenute Ferrocinto「Pollino Rosato」。

Ferrocintoがあるのは、イタリア南部カラブリア州Castrovillari。

背後には、標高2,000mを超える山々を持つポッリーノ山塊が広がります。

南イタリアというと、強い太陽と暑さをイメージするかもしれません。

しかしFerrocintoのブドウ畑は標高のある場所に位置します。

そしてPollino Rosatoに使われるのが、

Aglianico(アリアニコ)。

南イタリアを代表する黒ブドウのひとつです。


赤ワインになるブドウから、ロゼを造る

アリアニコは、本来しっかりした酸とタンニンを持つ黒ブドウ。

力強く、長期熟成する赤ワインにもなる品種です。

しかしPollino Rosatoでは、そのアリアニコをロゼとして仕立てます。

確認できる過去ヴィンテージでは、香りにはイチゴやスイカ、マンダリン。

さらに花やハーブを思わせるニュアンス。

口に含むとフレッシュな酸と塩味があり、黒ブドウ由来の繊細なタンニンも感じられます。

つまり、

白ワインのようなフレッシュさを持ちながら、赤ワインにつながる骨格もある。

この「白と赤の間」にいることが、今回ロゼを選んだ理由です。


魚と野菜、その間をロゼがつなぐ

今回の料理には、大きく二つの要素があります。

ひとつは、

旬魚、魚の出汁、レモン。

もうひとつは、

トマト、茄子、赤パプリカ、バジル、エストラット。

前者だけなら、白ワインという選択肢もあります。

しかし後者まで考えると、もう少し果実味と骨格が欲しくなる。

だから、ロゼ。

旬魚には、ロゼのフレッシュな酸。

魚の旨味には、ワインの塩味。

トマトや赤パプリカの甘味には、アリアニコから感じる赤い果実。

ヴィネガーやレモンの酸味には、ワインの酸。

そして茄子やエストラットの凝縮した味わいには、アリアニコ由来のわずかなタンニン。

料理とワインの間に、いくつもの共通点が見えてきます。


南イタリアの料理に、南イタリアのロゼ

もうひとつ、このペアリングには面白いところがあります。

チャンボッタは南イタリアに根付く料理。

今回の一皿はバジリカータをテーマにしています。

そしてFerrocintoがあるカラブリア州は、そのバジリカータ州のすぐ南。

FerrocintoのあるCastrovillariは、まさにポッリーノ山塊の麓。

州境を挟んだ向こう側はバジリカータです。

料理とワインは、同じ州ではありません。

でも、非常に近い土地の食文化から生まれています。

「同じ州だから合わせる」のではなく、同じ南イタリアの風土と食文化を一つのテーブルでつなぐ。

そんなペアリングです。


「魚には白」から、もう一歩先へ

ペアリングを考えるとき、

「魚には白」
「肉には赤」

という基本があります。

でも料理をもう少し細かく見てみると、選ぶワインも変わってきます。

魚そのものだけを見るのではなく、

何と一緒に食べるのか。

どんなソースなのか。

酸味があるのか。

野菜の甘味があるのか。

香草を使っているのか。

そこまで考えていくと、今回のように、

「魚料理だからこそ、ロゼ」

という選択肢が見えてきます。

浜田港から届く旬魚。

横須賀の夏野菜。

南イタリア・バジリカータをイメージしたチャンボッタ。

そしてポッリーノ山塊の麓で生まれる、アリアニコのロゼ。

料理を一口。

ワインを一口。

魚、野菜、そしてワイン。

三つが一つにつながっていく感覚を、ぜひお楽しみください。


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