リストランテアキタでは、約1か月半ごとにコース内容を見直し、その季節だからこそ味わえる料理をご提供しています。
料理が変われば、それに寄り添うワインも変わります。
前回同様、ソムリエ・藤本智さんにもご協力いただき、それぞれの料理の魅力をより引き出すペアリングをご用意しました。
一皿ごとの味わいとともに、今回お楽しみいただくワインをご紹介いたします。
Pandolfa “Federico” Sangiovese Superiore 2024
今回ご紹介するワインは、
Pandolfa “Federico” Sangiovese Superiore 2024

イタリア・エミリア=ロマーニャ州で造られるサンジョヴェーゼです。
そして今回、このワインを合わせるのは、リストランテアキタにとって特別な一皿。
自家製手打ち麺「ピーチ」と、長谷川農産のブラウンマッシュルームのラグーソース。

15年かけて少しずつ形を変えながら作り続けてきた、当店のスペシャリテです。
まずは、藤本ソムリエのコメントから。
赤いチェリー・ラズベリーの酸味がブラウンマッシュルームの濃密な旨味に明るい輸を与え、薔薇やハーブの香りがラダーの複雑な香りに寄り添う。
ステンレスタンク中心・抽出控えめで破された柔らかいタンニンは、もちもちした太麺「ビーチ」の食感に寄り添いながら、キノコの繊細な香りを覆わない。ロマーニャの丘陵地の畑由来のミネラル感が、キノコの土の旨味と同じ方向を向いており、キノコの土番とサンジョヴェーゼの鉄・ハーブ的なニュアンスが接要なる。
オーガニック栽培によるビュアな果実味は、リストランテ・アキタの名物パスタである「ビーチ」の噛むほど広がる食感に負けない持続力を持ちながらも、決して皿より主張しすぎない、優しい味付けのラグーに寄り添うやかな一本
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今回はワインそのものだけではなく、
「なぜ、この料理にこのサンジョヴェーゼを合わせるのか?」
というところからご紹介したいと思います。
原点は、トスカーナ南部の郷土料理
この料理の原点にあるのは、トスカーナ州南部、アミアータ山周辺の郷土料理「ピーチ・アミアータ」。

アミアータ山
「ピーチ」とは、シエナ周辺で食べられている、うどんのような太さとモチモチした食感を持つ手打ちパスタです。

ピーチ
本来のアミアータ風ピーチは、牛肉とポルチーニ茸を使ったラグーソース。
それをリストランテアキタでは、
肉を使わず、ブラウンマッシュルームだけで再構築しています。
そして、この料理に欠かせないのが、静岡県富士市・長谷川農産のブラウンマッシュルームです。

長谷川農産のブラウンマッシュルーム
レシピを変えていないのに、味が変わった
長谷川農産のブラウンマッシュルームを使い始めたのは、リストランテアキタのオープン時。
それまで作っていたラグーと、レシピも作り方も変えていません。
それでも、
明らかに旨味が増しました。
火を入れることで現れる香りと凝縮した旨味。
そこから15年間、ブロードの量やオリーブオイルなどを少しずつ調整しながら現在の形になりました。
見た目はピーチもソースも茶色。
決して派手な料理ではありません。
それでも、長く作り続け、今ではメニューから外すことのできない一皿になりました。
では、この料理に何を飲むか?
藤本ソムリエが今回選んだのが、
Pandolfa “Federico” Sangiovese Superiore 2024。
ここで少し面白いのが産地です。
料理のルーツは、トスカーナ。
Federicoが造られるのは、その北東に位置するエミリア=ロマーニャ。

そしてブドウは、どちらの土地とも深い関係を持つ、
サンジョヴェーゼ。
サンジョヴェーゼと聞くと、キャンティやブルネッロ・ディ・モンタルチーノなど、トスカーナを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかしサンジョヴェーゼは、ここロマーニャでも重要な品種です。
Federicoには、ロマーニャ系の大粒サンジョヴェーゼを主体としたブドウが使われています。

樽ではなく、ステンレスで造るサンジョヴェーゼ
このワインは、温度管理されたステンレスタンクで発酵。
果皮と約14日間接触させた後、マロラクティック発酵を行い、最低6か月ステンレスタンクで熟成されます。
強い樽香で厚みをつけるタイプではありません。
だからこそ感じられる、サンジョヴェーゼの赤い果実。
そして、この品種らしい酸とタンニン。
実は今回のペアリングでは、この「酸」が重要だと考えています。
マッシュルームの旨味に、サンジョヴェーゼの酸を
ブラウンマッシュルームをじっくり火にかけて作るラグーには、非常に強い旨味があります。
そして手打ちのピーチには、噛んだときのモチモチとした食感があります。
ここに重厚な赤ワインを重ねてしまうと、料理もワインも少し重たく感じてしまうかもしれません。
そこでFederico。
マッシュルームの旨味をサンジョヴェーゼの果実味で受け止め、
酸が口の中をもう一度整える。
そして穏やかなタンニンが、モチモチしたピーチと濃度のあるラグーに輪郭を与える。
一口食べる。
ワインを飲む。
そして、またピーチを食べたくなる。
今回目指したのは、そんなペアリングです。
「キノコだから赤」ではなく
ワインと料理を合わせるとき、
「肉だから赤」
「魚だから白」
という考え方があります。
もちろん、それもひとつの基本です。
でもペアリングをもう少し細かく見ていくと、
料理の酸味、旨味、香り、脂、食感。
そしてワインの酸、果実味、タンニン、香り。
それぞれの要素を組み合わせることで、選択肢はもっと広がります。
今回も、
「キノコだから赤ワイン」
という理由だけでFedericoを選んだわけではありません。
ブラウンマッシュルームの凝縮した旨味。
ピーチの食感。
ラグーの濃度。
そこにサンジョヴェーゼの酸と果実味を重ねる。
料理だけで完成させるのではなく、ワインが入ることで次の一口が美味しくなる。
それが今回のペアリングです。
500年前の物語を持つワイン
そしてFedericoには、もうひとつ面白いストーリーがあります。
ラベルに描かれている人物のモチーフは、15世紀イタリアを代表する人物、
Federico da Montefeltro(フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロ)。

ルネサンス期に活躍し、後にウルビーノ公となった人物です。
Pandolfaのワインには、この土地の歴史に関わった人物たちが登場します。
ワインを飲みながら、その土地の歴史にも少し触れてみる。
それもイタリアワインの楽しみ方のひとつだと思います。
15年の料理と、2024年のワイン
15年間、少しずつ手を加えながら作り続けてきた一皿。
そして、2024年に収穫されたサンジョヴェーゼ。
生まれた土地も、積み重ねてきた時間も違います。
それでも一つのテーブルの上で合わせてみると、不思議と共通するものがあります。
派手さではなく、
食べ続けられること。
飲み続けられること。
そして、
もう一口欲しくなること。
リストランテアキタのスペシャリテ、
「自家製手打ち麺ピーチ 長谷川農産ブラウンマッシュルームのラグーソース」と、
Pandolfa “Federico” Sangiovese Superiore 2024。
ぜひ、料理とワインを交互に味わいながらお楽しみください。

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